子供の病気
◎熱が主症状の病気
○かぜ症候群 ○突発性発疹 ○インフルエンザ
○麻疹 ○おたふくかぜ ○咽頭炎 ・扁桃炎
○咽頭結膜炎 ○ヘルパンギーナ ○尿路感染症
○日射病 ・熱射病 ○川崎病 ○髄膜炎 ・脳炎
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      ***** かぜ症候群 *****
     かぜ症候群とは、鼻、のどなどに急性の炎症が起こった状態の総称です。
   赤ちゃんが熱を出して受診する80%はかぜが原因だといわれるほど
   私たちにとっては身近な存在の病気です。
   原因はほとんどがウイルスによるもので、その種類は200種類以上とも
   いわれますが、その他にも、細菌やマイコプラズマの微生物が原因となる
   場合もあります。

    かぜにはせきやゼロゼロをともなうもの、嘔吐や下痢を
   起こすものなどさまざまな症状があります。
   これらはウイルスの種類や、ウイルスがどこにくっついたかで違ってきます。
   たとえば炎症の部位によって、鼻炎、咽頭炎、気管支炎、上気道炎などと
   よばれます。


    <発熱>かぜの熱は、出始めてから3日以内にはたいていは下がってきます。
   それ以上続く場合は、扁桃炎、肺炎などの細菌感染による病気か、
   かぜをこじらせた可能性大なので、再度受診や検査が必要となるでしょう

    <せき> 「コンコン」というたんのからまない乾いたせきが、かぜのせきの
   特徴です。
   ウイルスがのどや鼻の粘膜に炎症を起こし、息苦しくなるためにせきが
   出るのです。普通は4〜5日でおさまるはずですが、1週間以上たっても
   つづいたり、たんをともなった「ゴホゴホ」という湿ったせき、黄色いたん
   が出るときは、気管支炎を併発している状態です。

   
<鼻水・鼻づまり>  急に鼻水が出て止まらなくなったり、鼻がつまって苦しが
   るのはかぜ特有の症状です。
   鼻水は最初は透明で少し粘り気があり、2日後くらいに黄色くなり、
   3〜4日出つづけるものです。
   黄色い鼻水がいつまでも出ている場合は、かぜをこじらせ、
   急性副鼻腔炎が疑われます。

   
<嘔吐・下痢> かぜのウイルスが胃腸に炎症を起こすと、嘔吐や下痢という
   症状が出ます。かぜによる嘔吐・下痢は、何回かたてつづけに吐いたり、
   顔色が悪い、吐き気がある、食欲が落ちるなどが特徴です。
   かぜの下痢は1〜2日がピークで、3日目からはだんだんよくなり、
   5日くらいで止まることが多いようです。

   
<発疹や目やに> かぜのウイルスが原因で発疹や目やにが出ることもあります。
   夏に流行するかぜに多く、熱や鼻水が出たあとに、風疹のような
   赤いポツポツが出ます。これは「かぜのウイルスによる発疹症」
   と呼ばれるものです。

   <治療は?> 細菌を退治する薬(抗生物質)はありますが、残念ながらかぜの
   ウイルスをいっぺんに退治する薬はまだありません。
   どんなかぜにも絶対の特効薬はないのです。
   ですから、かぜの治療の基本は、症状を緩和することと、
   こじらせることを防ぐことの2つになります。

   かぜの症状を緩和するために、症状に応じて解熱鎮痛薬、
   鼻水を止める薬、下痢止め、せき止めなどが使われます。
   食欲がなくなり、水分もとれない脱水症を起こしている場合は
   点滴を行うこともあります。

   かぜ症状があるけれど、熱はなく食欲はあり、きげんもいいときは、
   そのまま家庭で様子を見てもよいでしょう。
   夜中に発熱し、38度以上あるときも・顔色がよくて元気、よく寝る
   場合は翌朝まで受診を控えてもよいでしょう。
   反対に熱が38度以上あり、きげんが悪く食欲がない、下痢や嘔吐が
   つづき水分がとれずぐったり、せきや鼻水で苦しがる場合は、なるべく
   早く病院へ。
   細菌感染を起こしてかぜをこじらせ、肺炎や中耳炎などの合併症の
   心配があるときは抗生物質を処方されます。

   <家庭でのケアは?> 家の中では静かに、なるべく安静にして かぜのケアの
   大原則は「安静」。
   熱があるけれど、いつも以上に元気だったり、
   せきは残っているけれど、熱が下がったからから
   といって外出するのはさけましょう。

           
入浴は控える
   熱があるときはもちろん、くしゃみ、鼻水などの
   初期症状がひどいときも、お風呂は控えておいたほうが無難。
   意外と体力を消耗するため、症状が悪化することが考えられます。
   ただし、夏かぜの場合は、熱が下がればシャワーはOK
   汗をそのままにしない気配りが必要です。

           
無理に食べさせない
   もし食べたがらなければ、離乳食一時中断もやむをえません。
   やわらかくクタクタに煮たうどんや、具をどろどろに煮込んだ
   野菜スープなどを、ほしがる分だけ食べさせてあげます。
   とくにのどが痛いときは、味が濃いものや熱いものは食べづらい
   ので避けましょう。
   おなかにくるかぜ以外のときは、冷たいものはOK
   熱があるときなどは、プリンやアイスクリームなどを喜ぶでしょう。

           
体をあたためすぎない
   かぜをひいているからといって、家の中でも厚着にする必要は
   ありません。きげんがよければ、ふだん着ている枚数でOK
   ただし熱が出始めるときは寒気がして、顔色も青白く、
   手足をさわると冷たくなっているので少し多めに着せて、
   いったん熱が上がってきたら、一枚ずつ少なくして、汗をかく
   ようだったら、着替えを手早くしてあげましょう。

           
換気・湿度に注
    冬のかぜは、鼻水や鼻づまり、せきなど呼吸器系の症状が
   重くなりやすい傾向があります。
   空気の乾燥ぐあいや、部屋の湿度に敏感に反応するため、
   時々窓をあけて換気したり、ぬれタオルを部屋にかけたり、
   加湿器で湿度を60〜70%に保ったりしてあげましょう。


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      ***** 突発性発疹 *****
   突然熱が出て、それが下がると同時に全身に
  パラパラとした赤い発疹が出る病気です。
  原因はヒトヘルペスウイルス6型または7型によるもの。
  ウイルスが特定できたのは、
  最近のことで、不明な点もあります。
  90%は1才未満まで、おそくとも2才くらいまでに  かかる病気で
  一度かかったり、
  2才を過ぎたりすると、その後かかることはほとんどありません。
  とくに多いのは、生後6ヵ月から1才までの赤ちゃん。
  初めての発熱がこの病気という子もたくさんいるようです。


 <症状は?>突然38度〜39度、ときには40度近い高熱を出しますが、
    高熱のわりには元気で、熱が3〜4日つづいたあと、急に
    平熱ぐらいまで下がります。
    それと同時か、翌日あたりに、大小不規則な赤い発疹が
    パラパラと出てきます。
    これはおなかや背中を中心に、半日ぐらいで全身に広がりますが、
    痒みはあまり感じないことが多く、発疹が出て2〜3日後からは
    だんだん薄くなって消えます。

 <自宅でのケアは?>突発性発疹という確定診断ができるのは、熱が下がって
    発疹が出てからのこと。
    この間はほかの病気の可能性があるので、高熱=突発性発疹症
    と決めつけず、熱が出たらすぐに小児科を受診しましょう。
    特に生後4ヵ月未満の赤ちゃんの発熱や、5日以上続く熱には
    ほかの重い病気の可能性もあるので注意が必要です。
    突発性発疹症と診断が確定したあとは、安静と水分補給に
    気をつけていれば、とくに心配はいりません。
    特別の薬なしでもよくなっていきますし、合併症などを起こすことも
    ほとんどありません。

    熱が高い時期は頭を冷やして水分をこまめに補給し、全身の状態
    に変化がないかどうかを経過観察しましょう。
    熱の上がりぎわに、まれに熱性けいれんを起こす場合もあります。
    以前に熱性けいれんを起こしたことのある子は早めに診察を受けましょう。



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      ***** インフルエンザ *****
    インフルエンザウイルスの飛沫感染により、おもに秋から冬にかけて
   流行します。
   かぜ症候群の中でも全身症状が強く出るのが特徴で、免疫力の弱い
   赤ちゃんは大人より重症になりやすいのでとくに注意し
   早めのケアが必要です。脳症などの合併症を起こすこともまれながら
   あります。
   インフルエンザウイルスにはA、B、C3つの型がありますが、
   その中でも、短期間で広い地域に流行するのが、A型とB型です。
   とくにA型は、ひとたび流行すると規模が大きくなりがち。
   毎年流行するたびにウイルスの抗原が少しずつ変異するのも特徴です。


 <症状は?>最初はふつうのかぜと同じように、鼻水、のどの痛み、
   せきなどですが、インフルエンザの場合、熱も高くなり
   39度以上になることもあります。
      頭痛、体のだるさや筋肉痛、関節痛などの全身症状も
   強く出て、吐き気や嘔吐、下痢などの胃腸症状をともなう
   こともあります。

 <治療は?>これまでは、ウイルスによる病気のため特効薬といえる
   ものはなく、基本的には対症療法で治療されてきました。
   解熱剤、鎮咳薬、去痰薬、気管支拡張剤を症状にあわせて
   処方します。また細菌による二次感染を防ぐために、
   抗生物質を使うこともあります。
   最近は、インフルエンザウイルスに効く薬も使われることが
   多くなってきました。

 <自宅でのケアは?>家でのケアの基本はかぜの場合と同じです。
   だるさなどの全身症状は3〜4日で抜け、
   1週間前後で治ります。
   それよりむしろ、インフルエンザは予防が大切。
   大人がウイルスを家に持ち込まない、流行中は
   赤ちゃんづれで人込みに出ない、外から帰ったら、
   うがいや手洗いをしっかりするなどの注意が必要です。

 <予防接種は受けた方がいい?>
   インフルエンザの予防には、あらかじめの
   予防接種が最良の策です。
   ワクチンの有効率は約50〜60%で、
   ほかの予防接種にくらべると低い数値ですが
   接種しておくことで、もしかかったとしても
   軽い症状ですむことが期待できます。



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      ***** 麻疹 *****
   はしかは麻疹(はしか)ウイルスの感染で起こる、非常に伝染力の
  強い病気です。乳幼児がかかると重症になりやすく、
  昔は「命さだめ」と呼ばれるほどの病気でした。
  現在でも赤ちゃんや老人、基礎疾患のある人にとっては大変危険な
  病気で、年間、80人前後の乳幼児がはしかで亡くなっています。
  はしかは中耳炎や肺炎、などの合併症を起こしやすく、ごくまれに
  脳炎を併発することもあります。脳炎は致命率も高く、麻痺や
  知能障害が残るこわい病気です。

 <症状は>はしかの潜伏期間は約10〜14日前後。
      38度以上の発熱や鼻水、せきなどのかぜ症状から始まり、熱は
      3〜4日つづきます。
      4日目になると目が充血し、目やにが出たり、口の中が真っ赤に
      なって荒れてきます。口の中にコプリック班という小さな粟粒大の
      灰白色のポツポツが数個から数十個あらわれると、はしかという
      診断がつきます。
      熱は3〜4日でいったん下がりかけますが、もう一度上がり始める
      と顔や首、胸のあたりに、赤く盛り上がった発疹があらわれます。
      発疹が全身に広がるころには、隣り合った発疹同士がくっついて
      大きくなり、大小さまざまな発疹がまじった状態になります。

 <
治療は?>はしかもウイルスが原因の病気なので、特効薬はありません。
      そのため、治療もかぜと同じ、対症療法が中心です。
      中耳炎や肺炎を予防するため、抗生物質を用います。症状が重い
      場合は入院することもあります。
      兄弟やいっしょに遊んでいる子がはしかを発症した場合は、
      予防接種がまだであれば、ほぼ確実に感染していると考えましょう。
      症状が出てくる前であれば、ガンマグロブリンを注射する方法も
      あります。感染後6日目くらいまでに接種すると、はしかの発症を
      防ぎ、症状が出ても軽くすませることができます。


      1才を過ぎたら、早めに予防接種を受けましょう!



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      ***** おたふくかぜ *****
   おたふくかぜは、正しくは流行性耳下腺炎といい、ムンプスウイルスの感染
  によって、耳の下にある耳下腺が炎症を起こします。
  耳の付け根からあごにかけての部位がはれ、おたふくのように見えるのが
  病名 の由来です。
  片側だけはれることもありますが、約半数は数日後に反対側も
  はれてきます。
  かかりやすいのは、2〜9歳の幼児で、春から夏にかけて多く見られます。
  おたふくは一度かかると生涯免疫ができます。
  比較的症状の軽い病気ですが、髄膜炎や脳炎などの合併症を起こすことも
  あるので油断はできません。

 <症状は?>ムンプスウイルスの潜伏期間は2〜3週間、人にうつしやすいのは
      耳の下がはれてくる数日後から発症後10日くらいの間です。
      症状は頬やあごのはれから始まり、ピーク時には38〜39度位
      の熱が出ることもあります。
      はれた部分は、ふれるとややかたくなっていて痛みをともないます。
      はれや局所の痛みは5〜7日、長いときは10日ほどつづいて
      おさまります。

      熱が下がらず、強い頭痛や吐き気をともなう時は髄膜炎や脳炎の
      心配があるので急いで小児科を受診しましょう。

 <治療は?>はれて痛みが強い場合は、鎮痛剤などが処方されることもあります。
      自宅では本人が気持ちよければ、頬やあごを冷やしてあげるのも
      よいでしょう。
      かむと痛いので、食事は消化のよい材料で、かまなくてもすむように
      やわらかく調理しましょう。

   おたふくかぜが原因で難聴になったり、思春期以降にかかると睾丸炎や
   卵巣炎を併発して、不妊につながることがあります。
   とくに大人がかかると重症化しやすいため、かかった記憶のない人は、
   子供と 一緒に予防接種を受けておくとよいでしょう。



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      ***** 咽頭炎 ・ 扁頭炎 *****
    咽頭とはいわゆるのどちんこの周辺で、ここに炎症を
   起こしたものが咽頭炎です。
   また、扁桃とはのどの両サイド部分にあるリンパ腺で
   ここに炎症が起きたものが扁桃炎です。
   どちらの炎症も、そのほとんどはかぜを引き起こすウイルスが原因です。
 これらのウイルスがとくにのどの入り口で強い症状をひきおこしたものと
   理解してください。

   基本的にはウイルスが原因の咽頭炎、扁桃炎は症状もそれほど重くなく
   かぜと同様のケアをしていれば、数日でよくなります。
   一方、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)や肺炎球菌、
   インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別のもの)など細菌が
   原因で起こる咽頭炎や扁桃炎は注意が必要です。
   それぞれを細菌性咽頭炎、細菌性扁桃炎といい、こちらは抗生物質の
   治療を行わない限り、熱も炎症もなかなかおさまりません。

 <症状は?>ウイルス性の咽頭炎は、発熱、軽いせき、鼻水などのかぜの
   症状が見られますが、呼吸器のいちばん浅い部分の炎症なので、
   あまり心配はいりません。
   一方、ウイルス性の扁桃炎は、39度前後の高熱が出て
   声もかすれてきます。
   つばを飲み込むだけでものどが痛く、食事もとれなくなります
   こちらはせきや鼻水といった症状はあまり見られません。

   細菌性の咽頭炎、扁桃炎は高熱がひとつの目安です。
   熱が高いのにせきや鼻水などの症状がなく機嫌が悪い、水分を飲ませ
   ようとするといやがる、ぐったりしているなどの様子が見られたら、
   早めに小児科を受診しましょう。
   細菌性の扁桃炎は、扁桃が赤くはれるだけでなく、表面にべったりと
   白いうみがくっつくことがあります


 <治療は?>ウイルス性の場合、どちらもかぜと同じく、安静にしていれば
   回復に向かいます。
   咽頭炎は2〜3日後、扁桃炎の場合は1週間以内にはだいたい症状が
   消えるでしょう。
   重症化が恐い細菌性の咽頭炎や扁桃炎は、抗生物質を用いた治療が
   必要になります。

 <自宅でのケアは?>咽頭炎や扁桃炎の場合、のどの痛みはとても強く
   つばを飲み込むのも痛くて食欲が落ちてしまうこともよくあります。
   とりあえず食べられなくても水分さえ取れていれば安心なので
   とにかく水分補給に努めましょう。
   それでも飲めない時は脱水生が心配なので、病院へ。
   細菌性の場合はとくに合併症も心配なので、入院して経過観察することも。



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      ***** 咽頭結膜炎(プール熱) *****
    夏かぜの一種で、原因はアデノウイルスです。
   感染している子供の目やにやのどの分泌物、便などが感染源となります。
   プールの水が汚染されて集団発生することが多いので
   俗に「プール熱」とも呼ばれています。

<症状は?>のど(咽頭)と目(結膜)の部分に症状が出ます。
   のどがはれて痛みだすと同時に白目やまぶたの裏側が赤くなり、
   結膜炎を起こします。目がショボショボする、まぶしがるといった
   症状と前後して、急に39度前後に高熱がでます。

<治療は?>アデノウイルスに直接効く薬はないので、治療は対症療法です。
   二次感染を防ぐために、抗生物質入りの点眼薬を使うことがあります。
   通常熱は5日程つづき、1週間ほどで治りますが、なるべく安静に
   して。また、のどの痛みが強いので、脱水症に気をつけます。

   アデノウイルスは感染力が強いので、ほかの家族にうつさないように
   注意しましょう。タオルや洗面器、洗濯も別にします。
   また、手洗いをよくするように心がけましょう。



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      ***** ヘルパンギーナ *****
    夏かぜの一種で、乳幼児に多く見られます。
   おもにコクサッキーウイルスによって起こりますが、
   ウイルスが数種類あるため、一度かかってもまたかかってしまうことが
   あります。


 
<症状は?>突然39〜40度の高熱が出て、扁桃の上のほうに小さな
   水疱が数個から十数個でき、その周辺が赤くなります。
   最初は1oくらいですが、2〜3日で2〜3oくらいの大きさになり
   つぶれてカイヨウになります。
   カイヨウになるとひどくしみてかなり痛みがあり、唾液を飲み込む
   こともできなくなります。そのためによだれが多くなったり、
   のどが過敏な子は吐くこともあります。


 
<自宅でのケアは?>熱は2〜3日で下がり、カイヨウも1週間ほどで
   治ります。
   食事を受けつけないほどのどが痛むのも最初の数日だけ、
   この時期には脱水症を予防するための水分の補給が第一。



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      ***** 尿路感染症 *****
    尿がつくられ、体外に排泄されるまでの通り道を尿路といいます。
   尿路感染症とは、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、尿道のどこかの部分に大腸菌
   などの細菌やウイルスが感染したことで炎症が起こる病気です。
   原因の9割以上は細菌による感染で、そのなかでも腸内にすみつきやすい
   大腸菌の感染がもっとも多くみられます。
   炎症は尿路が短い女の子に起きやすいのですが、赤ちゃん時代には
   男の子に多い病気です。
   男の子がこの病気になるのは、尿路に形態異常があるなど、もともと
   尿路になんらかのトラブルがあることがほとんどです。

 <症状は?>大人なら、膀胱炎になった時点で排尿痛や頻尿などの不快感に気づき
   治療にとりかかれますが、赤ちゃんは不快感を訴えることはできない
   ので、膀胱炎の段階では気がつかないことが多いようです。
   感染が上部の尿路に進むと、より症状の重い腎盂腎炎になってしまい
   高熱がでます。

   赤ちゃんが、かぜの症状が何もないのに熱が出てぐあいが悪いとき、
   あるいは発熱を何度も繰り返すときは尿路感染が疑われます。

 <治療は?>膀胱炎は抗生物質を服用して治療します。
      しかし、細菌が奥に侵入し腎盂腎炎を起こしている場合は
   尿の状態が改善するまで入院治療をすることになります。

   1才前の赤ちゃんが急性腎盂腎炎にかかると、腎臓の細胞そのものが
   再生不可能なダメージを受ける



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      ***** 日射病 ・ 熱射病 *****
    真夏の炎天下の海辺など、戸外で強い直射日光にさらされたために
   起こるのが日射病、蒸し暑いところに長時間いたために起こるのが熱射病です。
   真夏に「車の中で赤ちゃんが死亡」などの事故が起こっている熱中症は
   日射病や熱射病といった熱性障害の総称です。
   日射病よりも熱射病のほうが症状が重く、命にかかわります。
   どちらも暑さのために体温のコントロールができなくなり
   熱がたまって急激に体温が上昇することが原因。
   皮膚からもどんどん水分が失われ、赤ちゃんはあっという間に
   脱水症状におちいりときには死亡することもあります。

 <ケアは?>夏の外出先などで、赤ちゃんが汗をたくさんかいて、顔を赤くして
   いたり、抱くと体温が熱かったり、元気だったのがぐったりして
   きたら、脱水症状を起こしている証拠です。
   急いで日陰やクーラーのきいた涼しい場所につれて行き、衣服を
   ゆるめ、頭を高くして寝かせましょう。
   そして頭や体には冷たいタオルをあてて体温を下げます。
   このとき、早く体を冷やそうとして冷房や扇風機の風を直接体に
   あてると、皮膚から水分が失われ、かえって脱水が進んでしまう
   ので注意しましょう。
   そして飲めるようだったら、母乳や乳幼児用イオン飲料で水分を
   補給します。
   一気にたくさん飲ませると吐いてしまうこともあるので、ごく少量
   ずつ与えること。

 <治療は?>元気がない、おしっこの量が少ない、皮膚に弾力がないなどの
   症状はあきらかな脱水のサインです。
   顔色が悪くぐったりして水分を与えても飲めない、意識がない、
   けいれんを起こしたなどの場合は、大至急病院へ連れて行くこと
   赤ちゃんや幼児の脱水症状は進むのが早いため、大変危険です。



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      ***** 川崎病 *****
    川崎病は、赤ちゃんや幼児に起こる急性の全身性血管炎です。
   正式な名前は「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といいますが
   発見者の名前をとって、川崎病と呼んでいます。
   原因はまだはっきりわかっていませんが、全身の血管に炎症が起きる
   ことから体の免疫機構に何らか関係があるのではといわれています。

 <症状は?>最初は発熱、せき、鼻水など、かぜに似た症状から始まりますが
   やがて次のような特有の症状が出てきます。

   @原因不明の39〜40度高熱が5日以上つづく
   A数日後、水疱をもたない赤い発疹が全身に出る
   B発疹が出る前後から、手のひら、足の裏が赤くむくんでかたくなる
   C発疹が出る前後に、唇が荒れて出血し、舌もいちごのように赤く
    プツプツが出る
   D熱が出てから数日後、白目が充血して真っ赤になる
   E首のリンパ腺がはれてくる

   これら6つの症状のうち、5つがあてはまると、川崎病と診断され
   入院、検査が必要になります。

 <治療は?>入院中は血管の炎症を抑える薬や、アスピリンなどの血液が
   固まらないような薬を使い、慎重に経過を観察します。

   川崎病になると、血管に炎症が起きることで、心臓に血液を送り込んで
   いる冠動脈という血管に瘤(こぶ)ができることがあります。
   発症した子供の10%くらいに、この冠動脈の内側に血液のかたまり
   (血栓)がみられます。

 <自宅でのケアは?>冠動脈瘤がない場合は、症状がおさまったあとも2〜3ヶ月
   だけはアスピリン投与をつづけ、その間に心臓の超音波検査や
   心電図で検査をし、問題がないようなら薬を中止します。
   冠動脈瘤のできた子は、その後も専門医のもとで治療をつづけ
   定期的なチェックをします。
   小さなこぶであれば、たいていの場合2〜3ヶ月で自然に消えてしまいます。



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      ***** 髄膜炎 ・ 脳炎 *****
    髄膜は俗に脳膜ともいい、脳の表面や脊髄をおおっている膜のことです。
   ここに細菌やウイルスの病原体が感染して、炎症を起こしたのが髄膜炎。
   脳そのものに炎症が起きたものは脳炎といいます。
   髄膜炎は、かぜやおたふくかぜ、はしか、風疹などにかかったあとの
   合併症として、ときどきみられることがあります。
 
   髄膜炎は、原因によりウイルスによる無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)と、
   細菌感染による細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)の2種類に分けられます。

   脳炎で有名なものには、インフルエンザ脳炎や日本脳炎があります。
   どちらも重症度は高く、ときには命にかかわることもあります。

 
<症状は?>高熱や嘔吐、頭痛などがつづきますが、赤ちゃんの場合言葉で頭痛を
   訴えることはできないので大変ふきげんになり、食欲がありません。
   さらに、意識障害も出てきます。
   大泉門がまだ閉じていない赤ちゃんは、その部分がパンパンにはれて
   くることがあります。これは髄膜の炎症によって、頭の中の髄液圧が
   上がり、水が集まってくるため。この症状から髄膜炎と診断される
   こともあります。

 <治療は?>髄膜炎は、髄液をとって検査することですぐに診断できます。
   ウイルス性の髄膜炎であれば症状は軽く、ほとんどが髄液を抜く
   だけでよくなり、後遺症の心配もまずありません。
   一方、細菌性髄膜炎の場合は、抗生物質による点滴治療が2週間〜1ヶ月
   つづきます。
   いずれにしても、基本は入院治療です。



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