子供の病気
◎吐く・下痢をする病気
○ウィルス性胃腸炎 ○細菌性胃腸炎 ○乳糖不耐症
○幽門狭窄症 ○腸重積症
小児の疾患メニューへ戻る
      ***** ウィルス性胃腸炎 *****

    ウイルスに感染して、胃や腸に炎症を起こす病気です。
   おもに下痢や嘔吐、ときには発熱などの症状が出ます。
   秋から冬にかけて感染することが多いのが特徴のひとつで、
   なかでも代表的なのが、冬に流行する

   
ロタウイルス性下痢症(白色便性下痢症)です。
   乳幼児に多い病気のひとつで、一人が感染すると、きょうだいすべてに
   うつると考えてよいでしょう。


 
<症状は?>ロタウイルス性下痢症は、米のとぎ汁のような白っぽい下痢便と
   嘔吐が特徴です。嘔吐はなく、下痢だけということもあります。
   こうした症状は4〜5日程度。長いときで1週間くらいつづき、
   1〜2日発熱をともなうこともあります。
   白色の下痢便は診断の決め手になるので、そのままオムツを持って
   受診しましょう。
   そのほかのウイルスによる急性胃腸炎の場合は、同じ下痢便でも
   黄色っぽい色のことのほうが多いようです。
   症状としていちばんこわいのは、嘔吐と下痢による脱水症状です。
   脱水症状を見極めるポイントは、おしっこの量が減る、くちびるが
   乾いている、手のひらがカサカサしている、顔色が悪くぐったりし
   ている、皮膚にはりがない、の5つです。このような症状が見られ
   たら、できるだけ早く病院へ連れて行きましょう。


 
<治療は?>ウイルス性の急性胃腸炎には、特別な治療法はなく、
   脱水予防と下痢に対する対症療法を行うことになります。
   脱水の心配があるときは、点滴を行うこともよくあります。


 
<自宅でのケアは?>とにかく水分をこまめに少量ずつ補給することが大切です
   与える水分としては、乳幼児用のイオン飲料が体に負担がかからず、
   すばやく吸収されるので適しています。
   しかし、一度に沢山飲ませようとすると、吐いてしまうの
   で、少量ずつ与えましょう。
   また頻繁に下痢をするので、おしりが真っ赤になってしまいます。
   その都度、お湯でお尻を洗い流し、ワセリンやベビーオイルなどを
   塗ってあげましょう。
   なお、ウイルスは排泄した便や嘔吐物、唾液などに出てくるので、
   処理のあとは石けんでしっかり手洗いを!




▲ページ先頭へ
      ***** 細菌性胃腸炎 *****

    細菌性胃腸炎とは、いわゆる食中毒のことです。
   原因としてよく見られる細菌には、キャンピロバクター菌、サルモネラ菌、
   ビブリオ菌、ブドウ球菌などがあります。


 
症状は?>吐き気、嘔吐、下痢、発熱、頭痛などが主な症状で、
   場合によっては血便がみられることもあります。
   食べてから症状があらわれるまでの時間は、菌の種類によって異なり
   ますが、早いものでは4時間くらいです。


 
<自宅でのケアは?>治療は抗生物質の服用となります。
   食中毒はなってからのケアよりも、予防することが大切。
      予防のポイントは次の3つです。

        ◆ 食品はかならず加熱する
        ◆ 調理前には必ず手を洗う
        ◆ 調理器具はいつも清潔に




▲ページ先頭へ
      ***** 乳糖不耐症 *****

    ミルクや牛乳に含まれる糖質=乳糖は、酵素によってブドウ糖と
   ガラクトースに分解されてはじめて、体内に吸収されます。
   この乳糖を分解できず、赤ちゃんが下痢をしてしまうのが乳糖不耐症です。
   先天的なものは、おっぱいを飲み始めてすぐに、すっぱいにおいのする
   水っぽい便を頻繁にします。これは腸内のラクターゼという
   乳糖分解酵素が生まれつき欠けているためです。
   この状態を放っておくと脱水症状や、発育障害を起こす原因になるので、
   1ヶ月健診を待たずに、急いで小児科を受診することが大切です。
   後天的なものは、ウイルスや細菌性の急性胃腸炎が一因です。
   炎症を起こした腸の粘膜が、酵素を分泌できなくなることにより、起こります。
   乳糖不耐症のほとんどは、この後天的なものです。


 
症状は?>急性胃腸炎は治ったなずなのに、いつまでも下痢っぽい
   ウンチがつづく、離乳食を食べているのにかたまったウンチが出ない
   というときは、小児科の受診をしてください。
   また、便の回数、状態、色、においなどをメモしておいたほうがよい
   でしょう。


 
<治療は?>乳糖不耐症は、乳糖を含むミルクや牛乳などの乳製品が
   消化できずに起こる病気。
   だから、乳製品の使用をしばらくやめれば、特別な治療をしなくても
   自然に治ります。
   その間、離乳食が完了していない乳児は、乳糖を含まない
   ミルク(ラクトレス、ソーヤミルク、ボンラクト)に切り替えて
   与えるとよいでしょう。





▲ページ先頭へ
      ***** 幽門狭窄症 *****
    この病気は、正しくは「肥厚性幽門狭窄症」といいます。
   幽門とは胃の出口で十二指腸につながる部分。
   ここの筋肉が分厚くなり、ミルクなどの通りが悪くなる病気です。
   幽門の筋肉が厚くなるのは、先天的なもの、またはホルモンが関係
   しているなどといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
   日本では1万人に5〜7人が発症するといわれていますが、
   けっしてめずらしい病気ではありません。


 
症状は?>生後2〜3週間ごろから、少しずつ症状が出始めます。
   もともと赤ちゃんは胃の形の影響で吐きやすいのですが、幽門狭窄症
   の場合、一度嘔吐が始まるとだんだん強くなっていきます。
   最初は1日に1〜2回だった嘔吐が、4〜7日後には飲むたびに
   噴水のようにピューッと吐いたり、一度に大量に吐いたり、さらに鼻から
   飛び出すこともあります。
   吐いたあと、赤ちゃんはまたおっぱいをほしがりますが、飲んでは
   吐くを繰り返すので、体重が増えません。また水分が十分にとれないと
   脱水状態になってしまします。
   この病気は、症状が軽いと生理的な嘔吐と区別がつきにくいのですが
   体重が減っていくようであれば、この病気が疑われます。


 
<治療は?>飲んだものを噴水のようにはげしく吐くときは、
   1ヶ月健診を待たずに小児科を受診しましょう。
   治療の主流は手術ですが、とりあえず薬や、胃にチューブを入れて
   ミルクを補充するなどの方法がとられることもあります。
   手術は厚くなった筋層に切れ目を入れて開きます。
   手術後は早くから、普通にミルクを飲めるようになり、入院は1週間
   程度ですみます。
   退院するころには、必要なミルクの量がきちんと飲めて、体重も増加
   するようになっているでしょう。



▲ページ先頭へ
      ***** 腸重積症 *****

    腸の一部が同じ腸の中にもぐり込んでしまい、腸閉塞を起こす病気です。
   ちょうど望遠鏡の筒のように、腸の一部が二重、場合によっては三重に
   重なり合った状態になります。
   この病気は、生後3〜4ヵ月から1才くらいに多いのですが、
   その原因はまだ、はっきりとわかっていません。どちらかというと、
   体格のいい男の子の赤ちゃんに多く見られる傾向があります。


 
症状は?>最初は急にきげんが悪くなったり、ぐずったりすることから
   始まりますが、痛みが強くなると、ふつうとは違うはげしい泣き方をしたり
   顔色が悪くなったり、いきなり吐いてしまうこともあります。
   症状はしばらくすると治まりますが、5〜15分くらいたつとまた
   ふきげんになって泣きだします。そして数分後にはウトウト・・・
   こうした状態を繰り返すうちに、赤ちゃんはだんだん泣きつかれて
   グッタリとしてきます。
   腸重積症は、この繰り返しの発作がサインです。
   こんな様子が見られたら、夜中でも大至急病院へ行きましょう。
   放っておくと、重なった腸の内側に血液が届かなくなって、壊死を
   起こしてしまうことがあります。

   また、血便が出るのも腸重積症の特徴です。
   ただ、病気の始まりには便が自然に出ないことが多く、病院で浣腸
   してはじめてわかることもあります。
   最初のうちは、粘液と血液が便の表面についている程度の軽いものですが、
   しだいに、苺ジャムのような真っ赤なウンチに変わっていきます。


 
<治療は?>病院では、超音波やX線検査で腸閉塞の進みぐあいを確認します。
   治療の基本は浣腸です。空気や薄いバリウムを肛門から腸内に入れ
   重なり合った腸をふくらませて元に戻すのです。
   腸閉塞の程度にもよりますが、発症から24時間以内に浣腸をすれば、
   ほとんどが元に戻ります。
   この方法で戻らない場合、また腸のもぐり込み方がひどい場合は
   急いで手術をすることになります。




▲ページ先頭へ
小児の疾患メニューへ戻る