子供の病気
◎骨・関節の病気
○先天性股関節脱臼  ○筋性斜頚 ○内反足・外反偏平足
○肘内障 ○ O脚・X脚
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***** 先天性股関節脱臼 *****

    股関節がずれたり、はずれたりなどの脱臼を起こす病気です。
   股関節脱臼には、完全にはずれている完全脱臼、関節がはずれかかって
   いる亜脱臼、股関節の屋根にあたる部分の発育が悪い股関節臼蓋形成不全
   の3種類があります。
   股関節脱臼の起こる頻度は女の子の方が多く、男の子の約10倍です。
   早く発見することが大切なので、生後1ヶ月健診、3〜4ヶ月健診では
   チェック項目のひとつになっており、発見のきっかけは、こうした健診
   であることが多いようです。
   この病気には「先天性」という名がついていますが、股関節脱臼の9割
   以上は後天的なものです。赤ちゃんはもともと関節がゆるく股関節がはず
   れやすいため、無理に足をまっすぐにさせようとしたり、赤ちゃんに
   とっては自然な格好であるひざを曲げて股を開き、カエルのようなM字型
   をさまたげるようなオムツのあて方をすることにより、股関節がうまく
   発達せず、脱臼してしまうわけです。


 
<症状は?>
     ◆ 膝を曲げた状態で股を広げるとポキッ、クリッという音がする
      (股関節がはずれたり、はまったりするときの音)
     ◆ 両足を曲げて、膝を外側に広げてみると、片方あるいは両方の
       足の開きが悪い。
     ◆ 両足をそろえると、太ももやおしりのしわの数が左右で違う。
       足の長さも違う。
     ◆ 歩き始めが遅い。足を引きずるように歩く。

 
<治療は?>股関節脱臼と診断がついたら、治療が必要になります。
      治療で大切なのは、赤ちゃんのやわらかい骨や軟骨を傷つけずにじょ
      うずに脱臼を戻して、骨が正常に発育できるようにしてあげることで
      す。
      臼蓋形成不全のような軽度の脱臼や、脱臼が疑わしいという程度の場
      合は、当面、オムツのあて方や抱き方に気をつけます。
      完全脱臼や、オムツや抱き方の注意だけでは治らない場合は、赤ちゃ
      んが足を動かしているうちに自然に脱臼が治るように工夫された、リ
      ーメンビューゲルというバンドを肩から足にかけてつるす治療が効果
      的です。装着期間は平均3〜4ヶ月。生後3〜6ヵ月の間にこれをつ
      ければ、亜脱臼で100%、完全脱臼でも90%が治ります。
      それでも治らない場合は、手術が必要になります。(全体の3%)
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  ***** 筋性斜頚 *****

     斜頚にはいくつか種類がありますが、ふつういちばん多く見られるのが、
   この筋性斜頚です。首の筋肉の間にこぶのようなしこりができるため、
   首がいつも左右どちらかに傾いてしまいます。「寝ぐせ」や「向きぐせ」
   かなと思って違う方向を向かせようとしても、筋が突っ張って痛みがある
   ため、向き直ることができません。
   しこりは生後4〜5日からでき始め、2〜3週間で大人の親指くらいの
   大きさになり、1ヶ月健診で指摘されることもよくあります。



 
<自宅でのケアは?しこりは1ヶ月を過ぎると吸収されて、だんだん
   小さくなっていくものです。ほとんどは生後3ヵ月ごろまでに治り1才
   までには90%が治ってしまいます。
   程度がひどい場合でも手術をするのは1才を過ぎてからなので、それま
   では様子を見ていてかまいません。
   この症状がある赤ちゃんは、片側だけを向いて寝るので、頭の形がいび
   つになりがちです。できるだけ、背中全体にバスタオルなどをあて、
   向く方向を変えてあげるとよいでしょう。





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  ***** 内反足・外反偏平足 *****

    内反足とは、足の裏が内側を向いている生まれつきの変形です。
   足首から足の裏全体が内側にひねった形になっている、土踏まずから
   先が内側を向いている、足首が上に曲がらないなど形はいろいろです。
   動かしてみてもとに戻る程度なら一時的なもので心配いりませんが、
   かたくて動かない場合は、生後早いうちから治療を始めます。

   反対に、足首が外側にねじれているのが外反偏平足です。
   赤ちゃんはふつう土踏まずのない偏平足ですが、歩くようになると
   土踏まずができます。ところが、なかにはできない子もいて、土踏
   まずが出っぱり、立たせると足首が外にねじれて小指側がもち上がっ
   てしまいます。これが外反偏平足で、足の筋肉や靭帯が未熟な赤ちゃん
   にはよく見られるものです。


 
<治療は?
内反足は、正しい形にギプスを足に巻いて固定して、
   1〜2週間おきにギプスを取り替えながら矯正すると生後3〜4ヵ月で
   治ります。それでも変形が残る場合は、手術をすることもあります。
   治りまでは足に装具をつけますが、治ればスポーツもふつうにできます。
   外反偏平足は、はだしで歩いたり、つま先立ちさせるなど、よく運動
   するうちに成長するにしたがってほとんど治ります。
   程度が強い場合は、4〜5才ごろまで装具を使って矯正しますが、
   やはりほとんど治ります。




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  ***** 肘内障 *****

    手を強く引っ張ったときに、腕がだらっとしてひじが抜けたような
   状態になることをいいます。
   完全に抜けてしまう脱臼ではなく、骨と骨を輪のようにつないでいる
   ひじの関節の靭帯がずれた状態です。
   幼児によく起こりますが、これは靭帯の発達が未熟なため。
   靭帯が発達する7才以降にはほとんど見られなくなります。
   この状態になると、子どもは痛がって泣き出します。腕はだらりと
   下げたまま、ひじを曲げることができません。


 
治療は?>
肘内障が疑われたらすぐに受診して元に戻してもらいましょう。
   そしてしばらくは無理をさせないで様子を見ます。
   自由に腕を動かすようになったらもう心配はいりません。

   肘内障はくせになりやすいので、急に手を引っ張ったりしないように
   注意しなくてはいけません。たびたび起こすときは、肘をもどす方法
   を習っておくとよいでしょう。
   手のひらを上に向けて、肘の関節を支えながら、そっと肘を曲げます。
   元に戻ると、コリッいう音と手ごたえがあるのでわかります。





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      ***** O脚・X脚 *****     

    歩き始めの赤ちゃんは、どの子もいわゆる「がに   股」でO脚ぎみ
   に見えるのがふつうです。それが2才を過ぎるころからだんだんと、
   ひざが内側を向いたX脚ぎみに見えてきます。7〜8才ぐらいまでは
   骨が大きく成長する時期であり、これらも子どもの足の骨の発達から
   考えると自然なことです。
   小学校に入るころには、O脚もX脚も気にならなくなるのがほとんどです。
   けれど、なかには強いO脚やX脚もあります。2才を過ぎても、両足
   のかかとをつけてひざを伸ばして立たせたときに、両ひざの間に大人
   の指が3〜4本入るときは、O脚の程度がひどいといえるでしょう。
    同じ状態で、左右のくるぶしの間に指が3〜4本入るのは、X脚の
   程度がひどいケースです。


 <治療は?
O脚、X脚の程度がかなりひどい場合は、ふつう装具をつける
   方法で矯正します。靴の底に板をつけて矯正する方法などもありますが、
   ほとんどがこれで治ります。
   O脚では、半年間くらい矯正具を用いますが、まれに矯正で効果がない
   場合があります。またひざの骨の先端部分の異常のために骨の変形が強
   くなる病気もあり、このようなときは手術を行うこともあります。
   X脚では一般に手術はしません。





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